こんにちは。サイト運営者のおちびです。
テレビや書籍でも取り上げられることがあり、少しずつ "会食恐怖症" の名前が知れ渡ってきたように思う今日この頃。でも、まだまだ認知度は低く、周りに理解されないまま一人で悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事の著者・おちびはかれこれ 8 年ほど会食恐怖症と付き合っていますが、ここ最近だいぶ症状がおさまってきたと感じています。
今回は、そんな私の経験談と「会食恐怖症の辛いところ」「克服のための具体的な方法」をご紹介。会食恐怖症に悩んでいる方や病気について詳しく知りたい方の参考となれば幸いです。
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目次
私と会食恐怖症
食べ物が喉を通らない
発症のきっかけが何かと聞かれると、正直分かりません。
私の場合、幼少期から学生時代までは、当たり前に人前で食事ができていました。しかし、社会人になってから徐々に、外食や誰かと一緒の食事をするシーンで「食べ物が喉を通らない」「飲み込むことができない」「気持ち悪くて食べることができない」と感じるようになりました。
例えば、会社の飲み会の場面で大勢の人と食事をしているときに胸や喉が苦しくなって、食べ物を飲み込むのが辛いと感じたり。社員食堂で一人でご飯を食べているときに気分が悪くなり「吐いたらどうしよう」と不安になったり。
そんな経験が少しずつ増えていきました。
会食恐怖症を持つ人へのアンケートによると、発症のきっかけを覚えていない人は 19%。
そのほか「周りの人から完食を強要されたこと」と答えた人が 21%、「自分や周りの人の嘔吐に関する体験」と答えた人が 約 18% という結果になっています。
出典:会食恐怖症が治るノート (星和書店)
飲み会や人とのご飯が怖くなる
ご飯を普通に食べられない経験が積まれていくにつれ、外食に行くこと・誰かと食事をすることへの恐れの感情が募っていきました。「食事の約束をしたけど、当日気持ち悪くなったらどうしよう」「飲み会の場で何も食べられなかったらどうしよう」などの予期不安が現れるようになり、外食や人との食事が怖いと思うようになっていきました。
人とご飯を食べること (会食行為) に対して健全ではない不安を感じ、その不安を避けようとすることで日常生活に支障をきたす状態のことを会食恐怖症と言います。
精神医療において会食恐怖症は、不安症の一種である「社会不安症」として分類されます。
外食を避けるようになる
はじめは、予期不安がありつつも食事の約束や飲み会の誘いを受けて参加していた私。しかし、ことあるごとに具合が悪くなる→具合が悪いことを周りに気付かれないよう無理をして過ごす→無理をすることでストレスを溜め余計に辛くなる・・・という悪循環が起きていくことに。
こうして発症当時は "食事が辛い" という現象に名前がついていることなど露知らず、「なんとなく自分の体調が悪いのかな」「一過性の不調かな」と思いながらやり過ごし、数年の月日が経っていきました。
会食恐怖症という病名を知る
私は学生時代からパニック発作と付き合っており、社会人になってからは抑うつ症状などで心療内科にお世話になっている人間です。
とある日、会食に関する悩みとは一切関係なくふらりと訪れた本屋さんで心理学関連のコーナーを眺めていたところ、偶然目に留まったのが《会食恐怖症が治るノート》。
「会食恐怖症?これってもしかして私に起きていること?」と思い、その場で前書きを読んでみて「これだ!」と確信。
こうして、その場で初めて "会食恐怖症" の名前を知ったのでした。
すぐさま本を購入し、帰宅後に読破。自分と同じ悩みを持っている人がほかにもいること、原因や対策があるんだということを知ることができて、目の前の霧が晴れていくような気持ちになりました。
その後、本の内容を取り入れながら克服を目指し、現在に至ります (^^)
身体の疲労度や精神状況にも左右される?
私の場合、身体が疲れていたり精神的ストレスを抱えていたりするときには、いつも以上に会食恐怖症を発症しやすく、程度も重くなりやすい傾向にあると自覚しています。
例えば、目上の人との食事や初めての場所での食事は緊張するため、ほぼ 100% の確率で具合が悪くなるんですよね。
このように、一人の人間でもその時々で症状の現れ方や程度は変わってくると認識しています。
会食恐怖症の辛いところ
私が、長年付き合ってきて感じる「会食恐怖症の辛いところ」は、主に以下の 3 つです。
- 周りの理解を得るのが難しい
- 人に相談することが難しい
- ストレスで悪循環に陥りやすい
周りの理解を得るのが難しい
会食恐怖症に限りませんが、不安症の症状は基本的に本人にしか分からず、外から見ても苦しさが伝わりません。そのため、周りの人の理解を得るのが難しいです。
特に、会食恐怖症のように病名が一般に知れ渡っていない場合、そのような症状に悩まされている人がいることすら認知されていません。症状を持っていない人からは「なぜ食べることができないの?」と純粋に疑問に思われたり、「人の目なんて気にしなければ良い」など、根本解決にはつながらないアドバイスをされたりすることも・・・
症状を克服するために「周りに理解してもらいたい」と思った場合、自身が会食恐怖症になったきっかけや、症状の程度はどのくらいかなどをイチから相手に伝える必要があるかもしれません。
ちなみに私は、食事が進んでいないことや具合が悪いことを人に気付かれるのが嫌だったため、そもそも理解を得ようとは考えず、いつも平静を装って無理に周りに合わせるように過ごしていました。
今でこそ、旦那には症状をカミングアウトし理解を得られたため安心して食事ができるようになりましたが、昔は「人に言ったって具合が良くなるわけではない」などと思い込んでいた節があります。
人に相談することが難しい
前述のとおり、症状は本人にしか分からず、さらに同じ会食恐怖症でも人によって症状や程度がバラバラ。そのため、悩みや困りごとを誰かに相談したいと思っても効果的なアドバイスがもらえる可能性は低く、人に相談すること自体のハードルがとても高いです。
実は、精神疾患を専門に診るお医者さんの中にも知らない方がいると言われるくらい、会食恐怖症はまだまだマイナーな病気なんですね。
精神科や心療内科に相談した場合の治療法としてはまず「薬物療法」が挙がります。これは、抗不安薬などを服用して症状を抑えていく治療ですが、症状のもととなる根本原因を取り除くわけではないため、完全な克服を目指すことは難しいと言えます。
根本から会食恐怖症を克服するためには「精神療法」で認知の歪みを修正したり、普段の生活や行動を見直したりすることが効果的と考えられています。
ストレスで悪循環に陥りやすい
会食恐怖症の最も厄介なところは、本当はご飯を食べるのが大好きなのに外や人前ではそれができないジレンマである、と個人的には思っています。
私は、美味しいものを食べるのが大好き。おしゃれなカフェやパン屋さんがあれば行きたいし、旅行先では地元グルメをめいっぱい楽しみたいタイプです。仲の良い友達やパートナーも、私に対して「食べることが好き」と認知してくれているので、食事に誘ってくれるんですよね。
もちろん私も、大好きな友達やパートナー、お世話になっている会社の方などと楽しく会話をしながらご飯を食べたい。でも、身体が言うことを聞かないんです。外食の場になるとどんどん具合が悪くなり、食事が喉を通らなくなってしまいます。
食べれないことを変に思われたくないがために「少食なんです」「実はお腹が空いていなくて」と嘘をついてしまったり、辛いのに無理に食べて余計に気持ち悪くなってしまったり・・・そういうことが積み重なるのが、かなりきつかったです。
このようなストレスの積み重ねが、より自身の不安を大きくしたり悪い状態を作ってしまったりする要因になっていました。
実際、会食恐怖症で苦しんでいる方の中にも「本当は食べることが好き」「人と楽しく外食がしたい」という想いを持っている方が多いのではないでしょうか。
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治し方は?克服の方法
今すぐ完治させることは難しいですが、少しでも症状が和らげば精神的にかなり楽になりますよね。
ここからは、本から学んで実践し効果のあった方法や、私なりの練習のコツなど、会食恐怖症克服に向けて自分でできる具体的な方法をお伝えします。
- 練習により成功体験を積む
- 自分の苦手や発症の原因を探る
- 信頼できる人に話してみる
- 辛い時は無理をしない
練習により成功体験を積む
私が出会った書籍《会食恐怖症が治るノート》によると、自分なりの練習メニューを作りスモールステップで練習していくことが指南されています。
例えば「異性とのデートで楽しく食事をする」という目標があったとします。そうしたら、いきなり目標である異性との食事に行くのではなく、まずは自分一人でカフェに行きドリンクだけ頼んでみる、という練習をします。
一人でドリンクを飲むことができたら、次は通い慣れたファーストフード店で仲の良い友達 A さんとランチをしてみる、という練習をします。
…このように、スモールステップで少しずつ難易度を上げた練習を繰り返し、小さな成功体験を着実に積んでいくことが克服への第一歩。
「食事が怖い」「具合が悪くなったらどうしよう」というネガティブな不安感情から、「前回は一人でカフェに行けたから次もきっと大丈夫」「友達とランチできたから次はディナーも楽しめるかも」などの前向きな考え方を持てるようになっていくと Good です。
症状はたいてい、不安やストレスから起こるもの。会食に対するマイナスな気持ちが払拭できれば、克服に大きく一歩前進することになります!
2. いつものお店で友達とケーキセットを食べてみる
3. 定食屋さんで一人前のメニューを注文し半分残してみる
4. 食べ放題で好きな料理をお腹いっぱいになるまで食べてみる など
自分の苦手や発症の原因を探る
少しずつ練習を重ねていくと、徐々に自分自身の苦手パターンや発症のトリガーとなるものが分かってきます。
例えば、「居酒屋のガヤガヤした席は落ち着かないし人の目が気になって苦手」「個室の静かな空間なら安心できるので具合が悪くなりにくい」・・・など。
「自分はこういう場合に症状が出やすい、出にくい」ということを把握できていると、適切なレベルの練習メニューが組めたり、自身の状態がコントロールしやすくなったりして克服に役立ちます。
はじめは辛くて難しいと思いますが、発症したときの自分を客観的に観察して「これが原因かもしれない」「こういう場所なら練習しやすい」といった情報を集めていけると良いですね。
信頼できる人に話してみる
私の症状がおさまってきたのはこれが理由かもしれない、と思うのが「信頼できる人に症状のことを話してみる」ということです。
今まで私は、誰にも会食恐怖症のことを打ち明けずにいました。旦那にさえ隠していたこのことを昨年初めてカミングアウトしたところ、理解を得られ「一緒に練習していこう」と言ってもらえました。このことが自分にとって大きな支えになり、以来旦那と外食へ行っても「症状が出たらどうしよう」という不安がなく食事できることが増えていったんです。
「旦那が私の状態を分かってくれているから、具合が悪くなっても大丈夫」「食べきれなければ旦那が食べてくれるから残しても良い」というふうに思えると、食事に対する緊張や恐れがずいぶんと軽くなるんですよね。
人に話してみるだけでこんなに変わるとは、全く思ってもみませんでした。
ですので、誰にも話せず苦しんでいる方には、"勇気を持って信頼できる人に話してみること" をおすすめします。症状のことを知ってもらったうえで一緒に外食へ出かけてみると、とても心強いですし一人で行う練習とはまた違った良いトレーニングになりますよ◎
辛い時は無理をしない
今まで述べた方法やコツを実践していく中で、練習中に具合が悪くなったりしんどい思いをすることがあると思います。そんなときは 、無理をしないことが 1 番です。
無理をして辛い経験を増やしてしまうと、それがトラウマになって練習ができなくなったり、余計に会食が怖くなってしまう恐れがあります。それでは元も子もありません。
練習中に辛くなったときは、一旦席を立って外の空気を吸ってみたり、思い切って料理を残してみたりしましょう。それで良いんです。少しずつ、スモールステップで体を慣らしていくのが大切。上手くいく日もあれば上手くいかない日もあります。一度上手くいかなくても次は上手くいくかもしれないので、自分を責める必要はありません。
「今日はこれしか食べられなかった」→「今日は 3 割も食べれた」というふうに前向きに捉えて、自分自身を励ましながら無理のない範囲でやっていきましょう!
上手に付き合いながら克服を目指していこう
まとめ
・周りの理解を得るのが難しい
・人に相談することが難しい
・ストレスで悪循環に陥りやすい
■克服のための具体的な方法
・練習により成功体験を積む
・自分の苦手や発症の原因を探る
・信頼できる人に話してみる
・辛い時は無理をしない
おすすめ書籍
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会の代表理事である、山口健太さんの書籍を 2 つご紹介します。
▼薬を使わずに「会食恐怖症」を克服したご自身の経験を生かし、会食恐怖症に悩む人へのカウンセリングを行っている山口健太さんによる会食恐怖症の解説本。
▼私が会食恐怖症を知るきっかけとなった書籍。各章に書き込み式のワークが用意されているので、実践形式で症状に向き合える一冊。