アサーティブな自己表現《アサーション》とは|より良いコミュニケーションのために

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アサーティブな自己表現《アサーション》とは|より良いコミュニケーションのために (圧縮済)

自分の気持ちをうまく相手に伝えられなくてモヤモヤする・・・
積極的にコミュニケーションを図っているのに上手くいかない・・・
もっと上手な人付き合いができるようになりたい・・・

人間関係や人付き合いにまつわる悩みは、社会の一員として生きる私たちにとって常につきまとう問題です。

コミュニケーションは人間関係を築くうえで非常に重要な要素ですが、「良いコミュニケーション」には

①自分を伝えること
②相手を理解すること

の 2 つが必要であるとされています。

今回は、この①自分を伝えることに着目し、自分も相手も心地よくコミュニケーションを図るための「自己表現」とは何か?についてお伝えしていきます。

コミュニケーションにおいて重要な「自己表現」

コミュニケーションは「伝える人」と「受け取る人」で成り立っています。

例えば、この記事を書いている著者は「伝える人」で、今まさにこの文章を読んでくださっているあなたが「受け取る人」になりますね。
このように、どんなコミュニケーションにも必ず伝え手と受け手、つまり「自分」と「相手」があります。そして、相互理解を深めていくためには相手に適切に伝えるスキル相手の言わんとしていることを正しく理解するスキルが必要なのです。

今回は、この相手に適切に伝えるスキルを深堀りしていきますが、相手に上手く伝えるということは「自分の考えや気持ちをありのままに表現し相手へ伝えること」、つまり自己表現を上手く行うことであると言えます。

それでは、まずは自己表現の 3 つのパターンについて解説していきましょう。

自己表現には 3 つのパターンがある

自分の考えや気持ちを表現する「自己表現」には、大きく 3 つのパターンがあると言われています。その 3 つとは、

  1. 非主張的な自己表現
  2. 攻撃的な自己表現
  3. アサーティブな自己表現

です。それぞれ詳しくみていきましょう。

非主張的な自己表現

特徴

非主張的な人
早く帰りたいのに飲み会に誘われちゃって、断れないな・・・
非主張的な人
自分はあの人と違う考えだけど、自信がないから言わないでおこう・・・
非主張的な人
急ぎの作業を手伝ってほしいけれど、向こうも忙しそうだから 1 人で頑張ろう・・・

このように、消極的で主張がなく、自己表現が不十分なパターンを非主張的な自己表現と言います。
いつも他者を優先し、自分のことは後回しにするタイプの人はこの自己表現パターンに該当します。

自分の気持ちや考えを伝えられなかったり上手く表現できなかったりすることで、後味の悪い結果となり、自分自身が不愉快な思いをすることになってしまいます。

非主張的なタイプの特徴
・消極的
・引っ込み思案
・自己否定的
・依存的
・他人本位
・他力本願
・相手任せ
・服従的
・承認されたい
・弁解がましい

原因

なぜ、このような非主張的な自己表現をとってしまうのでしょうか?その原因を探ると、当人の中に以下のような思い込みがある場合が多いです。

■自分の意見に確信が持てない
■他人と違うことは怖い、嫌われる
■他人と違うことは面倒くさい、トラブルになる
■自己主張はしない方が楽である
■相手には従わなくてはならない  ・・・など

自分の気持ちを抑えて相手を優先するので、表面的には相手を大切にしているように見えます。しかし、自分の意志を押し殺しているため、必ず心の中にしこりが残ります。
これでは、望ましい自己表現・有効なコミュニケーションが行えているとは言えません。

攻撃的な自己表現

特徴

攻撃的な人
こっちは並んでるんだ!後ろに並べ!
攻撃的な人
今忙しいから静かにして!
攻撃的な人
わざわざ時間をとったんだから断るなよ、いいから行こう。

このように、自分の気持ちや考えはきちんと主張するものの、表現方法が過剰であったり相手に配慮できていなかったりするパターンを攻撃的な自己表現と言います。
いつも自分を優先し、他人に耳を傾けないタイプの人はこの自己表現パターンに該当します。

相手の意見や気持ちに気づかなかったり軽んじたりすることで、結果的に自分の主張だけを通してしまったり、相手に有無を言わせなかったりします。

攻撃的なタイプの特徴
・強がり
・横柄
・無頓着
・他者否定的
・操作的
・支配的
・自分本位
・一方的
・責任転嫁
・優越感に浸る

原因

なぜ、このような攻撃的な自己表現をとってしまうのでしょうか?その原因を探ると、当人の中に以下のような思い込みがある場合が多いです。

■自分の意見が正しい
■他人と違うことは悪いこと、どちらかに合わせるべき
■相手に逆らわれるのは怖い、面倒
■相手が自分に合わせるべき  ・・・など

相手の意見に耳を傾けず自分を優先し、自分のしたいように相手を動かして主導権を握ろうとするため、常に相手の犠牲の上にある自己表現をしているということになります。
これも、望ましい自己表現・有効なコミュニケーションが行えているとは言えません。

アサーティブな自己表現

特徴

アサーティブな人
せっかくのお誘いですが、あいにく今日は他の予定があるんです。また次の機会に行きましょう!
アサーティブな人
ここは並んでいますので、後ろに並んでくださいますか。

今までに紹介した「非主張的な自己表現」と「攻撃的な自己表現」の中間であり、適切に行われる自己表現のことをアサーティブな自己表現と言います。

アサーティブな自己表現では、自分の気持ちや考えをその場に適したかたちで「素直に」「正直に」表現しようと努めます。相手に遠慮して伝えるのを止めるのではなく、また、感情的に伝えて相手を粗略に扱うわけでもなく、きちんと自分の気持ちや考えを伝えるのです。そのうえで、相手が同じように表現することを待つ姿勢も併せ持ちます。自分も相手も立てるコミュニケーションと言えますね。

アサーティブの特徴
・正直
・素直
・積極的
・自発的
・自他尊重
・自他調和
・歩み寄り
・自己選択で決断する
・自己責任で行動
・柔軟に対応する

この「アサーティブな自己表現」のことを、アサーションとも呼びます。



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アサーションを実践しよう

次に、自己表現の方法やコミュニケーションの取り方として身に付けたいアサーションについて、詳しく紹介していきます。

基本の考え方

アサーションでは、自分も相手も大切にします。自分の考えや気持ちは正直に相手へ伝えることに努めると同時に、相手の意見にもしっかりと耳を傾けようと努める姿勢を持ちます。「自他尊重」の自己表現なのですね。

アサーションを実践していくためには、以下のことを理解しておく必要があります。

■人それぞれに考え方や価値観がある
■自分には自分の意見があり、相手には相手の意見がある
■他人と違うことは当たり前である
■自分の考えには賛成意見も反対意見も返ってくる可能性がある
■考えが違うのならお互いに協力し歩み寄ればよい ・・・など

人はみな、それぞれ異なる環境で生まれ育ち、それぞれの考え方やものの見方を身に付けています。つまり、人間の数だけ、異なる考え方やものの見方があるということです。

そのように理解していれば、他人と意見が違うことは何も怖くありません。「お互いに違いがあることは当たり前であり、違いこそが個性なのだ」と考えることで、より自分も相手も大切にできるようになるのです。

人とコミュニケーションをとるうえでは、このことを前提として心に留めておきましょう。

適切な自己表現のための具体的な行動

アサーションのためにはどのような行動をとったらよいのでしょうか。
すぐに実践できるポイントとしては、

  1. 素直に気持ちを言ってみる
  2. 相手の意見に耳を傾ける
  3. 歩み寄る

の 3 つがあります。

素直に気持ちを言ってみる

ひとつは、自分の考えや気持ちを素直に相手へ伝えてみることです。
アサーションは、自分も相手も大切にする自己表現であると言いました。つまり、自分から意見をきちんと伝えることと、相手の意見を聴くことの両方が欠かせないのです。

まずは、自分から相手へ適切に表現をしましょう。


もし、あなたが非主張的な自己表現をするタイプの方ならば、普段は口に出さずに心に閉まってしまう意見を声に出してみてください。「相手と違ったらどうしよう」という恐れがあるかもしれませんが、他人と違う意見を持つことは当たり前であり悪いことではありません。何も発しないままでは「この人は何を考えているかわからない」と思われてしまい、お互いを理解し合うことにはつながらないのです。例えば、自分でも考えがまとまっていないときには「正直なところ迷っています。A はこうだけど B もこうだからです。」などと率直に今自分が考えていることを言葉にしてみます。そうすると、相手は「この人はこう考えているのか」と理解してくれて、お互いに分かり合える可能性が拓けてきます。

コミュニケーションは「自分」と「相手」で行うもの。臆せずに、どんどんキャッチボールをしていくことが大切です。

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もし、あなたが攻撃的な自己表現をするタイプの方ならば、自分の発する言葉が一方的で主観的なものになっていないか注意し、もしそうならば、客観的な視点で状況を観察するように心がけましょう。例えば、誰かの声が大きくてうるさいと感じている時に「うるさいから静かにしろ」と表現するのは相応しくありません。一度落ち着いて状況を見てみると、実は大きな声には何か理由があること、相手は声が大きくなっていることに気づいていないこと、大声だと感じて不快に思っているのは自分だけであることなどが考えられるのです。そうすれば、「声が大きいと感じている」「少しボリュームを落としてほしいと考えている」というふうに、自分自身の考えを冷静に見つめることができ、最終的には「私には少し声が大きく感じられるので、もう少し静かにお話しくださいませんか」と伝えることができます。

このように、まずは自分の考えや気持ちを、感情的にならないよう注意しながら、素直に率直に伝えていきましょう。

相手の意見に耳を傾ける

ふたつめに、相手の意見にしっかりと耳を傾ける姿勢を持つことです。
相手は、言葉や言葉以外の表現 (身振り手振り、表情、声のトーンなど) を使って考えや気持ちを伝えてきます。受け手である自分は、相手のそれをしっかりと受け止め、相手が表現しようとしていること、言わんとしていることを理解しようと努めることが大切です。

コミュニケーションにおいては、考えや気持ちを 100% 全て相手に伝えることは不可能です。私たちは普段、心の中にたくさん浮かんでくる考えの中から必要なもの、伝えたいものだけをチョイスし、言語化したり態度に表わしたりしています。さらに、同じ言語を使ってコミュニケーションを図ってはいるものの、ひとつの言葉に対して持つ印象やイメージというのは人それぞれに若干違っていることもあります。例えば「今日は晴れていますね」という一言を聞いて「予報通り晴れたのだ」と事実を確認する人もいれば、「清々しい空で気持ちが良い」と感じる人もいるのです。

このように、コミュニケーションは決して完全なものではなく限界がある、という前提を理解した上で、相手はこの言葉により何を伝えたいのか、どんな気持ちを抱いているのか、可能な限り理解しようと努めることが大切なのです。

ただ話を聞いて内容を理解するだけでなく、表情や態度、声のトーン、言葉の選び方など、隅々にまで意識を向けて「相手を聴くこと」を心がけてみてください。

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歩み寄る

自分の意見を素直に伝え、相手の意見も聴くことができたら、あとは歩み寄りを行うことです。

人にはそれぞれの価値観やものの見方があると述べましたが、自分と相手の意見が一致することは稀であり、基本的には自分の発した意見に対して賛成と反対が 50% ずつの確率で返ってくると考えられます。もしくは、賛成でも反対でもなく、中間の意見や「迷っている」という反応が返ってくる可能性もあります。いずれにしても、「相手も自分と同じ考えであればラッキー」くらいに思って、もし違う意見が返ってきたらどう対応するかを考えておくことが肝要です。そしてその後、異なる意見からお互いに納得できる結論を出すために、有意義な話し合いを行っていくことになります。

時には、その話し合いがスムーズに進まず苦慮したり、時間がかかったりするかもしれません。しかし、お互いに違いを認め合い、相手の意見を大切にし、歩み寄りのもと協力してひとつの結論に達することができれば、それは素晴らしいコミュニケーションの結果です。このようなコミュニケーションができると、相互理解を深め、相手との親密な関係性を築いて、より良い人間関係を作っていくことにもつながるのです。


ここまで述べてきた「素直に気持ちを言ってみる」「相手の意見に耳を傾ける」「歩み寄る」の 3 つを実践して、アサーションを基本とした心地よいコミュニケーションを図っていきたいですね。

まとめ

それでは最後に、この記事の内容をかんたんにまとめます。

まとめ
✔️ 自己表現には 3 パターンある
 ・非主張的な自己表現
 ・攻撃的な自己表現
 ・アサーティブな自己表現 (アサーション)
✔️「アサーション」では自分も相手も大切にする
✔️ ものの見方は人それぞれ、意見が違うことは当たり前である
✔️ まずは素直に気持ちを伝えてみよう
✔️ 相手の意見に耳を傾けよう
✔️ お互いに歩み寄ることで相互理解が進み、良いコミュニケーションとなる

今回は、自分も相手も心地よくコミュニケーションを図るための「自己表現」についてお伝えしてきました。
生きていくうえで欠かせない「人付き合い」も、良好なコミュニケーションによって有意義なものとなり、やがて豊かな人間関係と自身の人生を築き上げてくれるでしょう。

そのためにも、いつも自他尊重の気持ちを大切にしていきたいですね!


参考書籍

今回の記事の作成にあたり、平木典子さんの書籍 "自己カウンセリングとアサーションのすすめ" を参考としました。

この本では、自分自身との付き合い方における自己表現について、とても易しく分かりやすい解説がされています。気になる方はぜひこの書籍もお手にとってみてくださいね。

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