そんな、勉強に行き詰まっているあなたへ。
今回は、メンタルヘルス・マネジメント検定 Ⅱ 種 (ラインケアコース) に独学で合格した私が、ここだけは押さえたい!頻出内容&ポイント箇所についてお伝えします。
覚えやすいようイラスト画像も交えて解説しますので、ぜひ何度も目を通して知識のインプットにお役立てください。
今回は、第 4 章の内容を取り上げます。
第 1 章から学びたい方は、こちらからお読みください👇
第 4 章の内容
Ⅱ 種 (ラインケアコース) の第 4 章は、「個々の労働者への配慮」という題目です。
主に、以下の内容が出題されます。
- 部下のストレスへの気付き
- ストレスへの対処、軽減方法
- プライバシーへの配慮 ・・・など
ストレス予防の基本から、健康情報の取り扱いなど、管理者の立場として理解が求められる内容が詰まっています。
第 4 章は、全章の中でも 1 番出題数の多い範囲であるため、かなりボリュームはありますが、しっかりと理解を深めておきたい項目ですね。
それでは、ここからテキストの項目に沿って「ここだけは押さえたい」ポイントをまとめていきます。
必ず押さえる!頻出内容
部下のストレスへの気付き
ここでは、従業員のストレスに気付く方法、ストレスへの対処方法などを理解します。
心理的負荷による精神障害の認定基準
近年、精神障害に関連した労災請求件数の増えていることから、1999 年に労働省 (現・厚生労働省) が「心理的負荷による精神障害等に係る業務場外の判断指針」を公表しました。
この指針には労災判断基準が示されているほか、その原因が業務上のものか業務外のものかを判断したり、その強度を見極めたりすることが示されていました。
その後 2011 年に厚生労働省は、労災認定の審査の迅速化と効率化を図るとともに、ストレスの評価基準をわかりやすく具体的に示した「心理的負荷による精神障害の認定基準」を策定。
これにより、1999 年に策定された指針は廃止となりました。
「心理的負荷による精神障害の認定基準」でのストレスの評価基準は、「業務以外の心理的負荷」と「業務による心理的負荷」の 2 つに大別されます。
さらに、業務による強い心理的負荷は特別な出来事と特別な出来事以外の 2 つに分けられます。
例えば、1 か月に 80 時間以上の時間外労働をした場合、業務による心理的負荷評価表において「強度 Ⅱ」と評価されます。
また、配偶者や子供、親または兄弟が死亡した場合、業務以外の心理的負荷評価表において「強度 Ⅲ」と評価されます。
管理監督者においては、心理的負荷が「強」とされる出来事が起こらないよう努めるとともに、もしそれらの出来事を体験した従業員がいれば、精神健康状態をきちんと確認しておく必要があるのです。
古いテキストで勉強をされている方は、最新の内容にしっかりと目を通しておくことをおすすめします。
最新の内容はこちらから確認できます。(厚生労働省の PDF が開きます)
長時間労働
うつ病などのメンタルヘルス不調の大きな要因として挙げられるのが、長時間労働です。
長時間労働は、脳・心臓疾患の発症との関連が強いという医学的知見が得られているため、厚生労働省は時間外労働を削減するためのさまざまな対策を行っています。
労働時間については、労働基準法によって「1 週間に 40 時間を超えて労働させてはならない」と決まっており、事業者が労働者に週 40 時間以上の労働を課すためには、労働者と労使協定「36 (サブロク) 協定」を結ぶ必要があります。
また、36 協定では、期間ごとに時間外労働の限度時間があり、基準に沿った管理が求められます。
期間 | 限度時間 |
1 週間 | 15 時間 |
2 週間 | 27 時間 |
4 週間 | 43 時間 |
1 か月 | 45 時間 |
2 か月 | 81 時間 |
3 か月 | 120 時間 |
1 年間 | 360 時間 |
さらに、長時間労働による過重労働から労働者を守るため、2002 年に「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(2016 年一部改正) が公表されました。
この総合対策では、事業者が講ずべき措置として以下が挙げられています。
- 時間外・休日労働時間の削減
- 年次有給休暇の取得促進
- 労働時間等の設定の改善
- 労働者の健康管理に係る措置の徹底
ストレスへの対処、軽減方法
次に、ストレス予防の基本やストレスへの対処方法についてを見ていきます。
管理監督者の立場でメンタルヘルスケアを推進していくにあたって、ストレスに関する基礎知識は欠かせないため、次に紹介する内容も必ず押さえておきましょう。
予防の基本
メンタルヘルス不調の予防の基本は、以下の 5 つです。
- 休養
- 睡眠
- 運動
- 食事
- リラクセーション
①休養
厚生労働省のホームページでは、「休養」を以下のように説明しています。
「休養」は疲労やストレスと関連があり、2つの側面がある。1つは「休む」こと、つまり仕事や活動によって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態にもどすという側面であり、2つ目は「養う」こと、つまり明日に向かっての鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めるという側面である。
このような「休養」を達成するためにはまず「時間」を確保することが必要で、特に、長い休暇を積極的にとることが目標となる。しかし、このような休養の時間を取っても、単にごろ寝をして過ごすだけでは真の「休養」とはならず、リラックスしたり、自分を見つめたりする時間を1日の中につくること、趣味やスポーツ、ボランティア活動などで週休を積極的に過ごすこと、長い休暇で、家族の関係や心身を調整し、将来への準備をすることなどが真の休養につながる。休養におけるこのような活動が健康につながる種々の環境や状況、条件を整えることとなっていくことから、今日の健康ばかりでなく、明日の健康を考えていくところに「休養」の意義付けをし、「積極的休養」の考え方を広く普及することが重要である。
引用:厚生労働省
単に疲労回復に努めるだけではなく、趣味や楽しみによって豊かな心持ちにすることで真の「休養」が取れるんですね。
休養がきちんと取れれば、心身ともに健康に過ごせますし、仕事のパフォーマンスも上がっていきます。
管理者として、従業員が十分重要が取れるように管理することはもちろん、自身の休養もおろそかにならないよう努めましょう。
②睡眠
睡眠を取ると、疲労を回復しストレスを解消することができます。
睡眠不足や睡眠障害といった問題があると、疲労感が拭えず日中に眠気が生じることになり、仕事をする中でパフォーマンスが落ちたりケアレスミスが増えるなどの影響が出てしまいます。
人によって最適な睡眠時間は違うため、「1 日◯時間」といった数字にこだわらないことが大切です。
日中、しっかりと目覚めて過ごせているかどうかを目安に、十分な睡眠が確保できているかを評価しましょう。
③運動
運動は、身体の健康維持や生活習慣病の改善のために重要だと言われていますが、それと同時に、ストレスの解消や気分の改善にも効果的であると言えます。
運動をすると脳内物質エンドルフィンが増加しますが、これはうつ病などの精神疾患の改善に役立つと言われているのです。
また、定期的に運動する習慣をつけると、熟眠を促し睡眠の質を向上させることも期待できます。
④食事
食事は、身体の健康だけでなく心の健康にも影響を与えます。
規則正しく栄養バランスのとれた食事を心がけ、1 日 3 食しっかりとることを意識します。
人はストレスを受けると、抗ストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンが分泌されるようになっています。この抗ストレスホルモンの合成にはビタミン B・C が必要です。
また、カルシウム・マグネシウムは精神安定に効果がある栄養素です。
日常的に、ストレス耐性を高めるための栄養素をしっかり摂取することが大切です。
⑤リラクセーション
ストレスを解放し、リラックスするためのリラクセーション法が様々あります。
代表的なものとしては、呼吸法、漸進的筋弛緩法、自律訓練法などです。
そのほか、音楽、ヨガ、アロマテラピーもリラクセーションの方法に含まれます。
ストレスへの対処
ストレスに対処するために取る行動のことを、コーピングと呼びます。
目的によって適したコーピングは変わってきますが、大きく分けると 2 つのコーピングがあります。
- 問題焦点型コーピング
ストレッサー (ストレス原因) そのものを取り除くための方法です。
(例)
・ギクシャクした人との仲を改善するために相手に謝まる
・通勤時間を短くするため会社の近くに引越しをする - 情動焦点型コーピング
不安定な情緒を安定させるため、ストレス反応にアプローチする方法です。
(例)
・嫌な出来事を忘れるためお酒を飲む
・趣味に没頭して気持ちをリラックスさせる
上記のようなコーピングを取り入れ、自分自身でストレスに対処することも大切ですが、ストレスの軽減には周囲からのサポートも必要です。
周囲からのサポートのことをソーシャルサポート (社会的支援) と言い、大きく 4 つのサポートがあります。
- 情緒的サポート
気分を落ち着かせたり、やる気を起こさせるようなサポート方法です。 - 情報的サポート
問題解決に役立つ情報を与える方法です。 - 道具的サポート
問題解決のための手助けを行う方法です。 - 評価的サポート
仕事や業績について適切に評価する方法です。
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プライバシーへの配慮
最後に、プライバシーへの配慮についてです。
労働者の健康にかかわる情報は、個人情報の中でも特に機微な情報であるため、厳重に保護する必要があります。
事業場内でメンタルヘルスケアに取り組んでいく際は、労働者のプライバシーの保護や労働者の意思の尊重に留意することが大切です。
個人情報保護法
特定の個人を識別できる情報のすべてを「個人情報」といいます。
2015 年 9 月、10 年ぶりに個人情報保護法が改正され、保護すべき範囲がより明確になりました。(施行は 2017 年 5 月)
また、病歴など特に慎重な取り扱いが求められる個人情報を要配慮個人情報とする特別の規制が設けられ、原則本人の同意を得て取得すること、本人同意を得ない第三者提供の特例 (オプトアウト) から除外すること、などが定められています。
安全配慮義務
事業者には安全配慮義務が課されています。
この安全配慮義務を履行するにあたり、個人の健康情報を提供する必要がある場合、産業保健スタッフ (産業医、保健師など) から非医療職への情報提供については本人の同意を得る、または誤解や偏見が生じないように情報を加工するのが望ましいとされています。
ただし、緊急対応が必要など、どうしても原則を遵守できない状況の場合は、ケース次第で顧客や同僚の安全と健康の確保が労働者のプライバシーの確保より優先されることもあり得ます。
原則だけでは対処しきれない場面もあるため、事例に応じた臨機応変な対応を行っていくことが大切です。
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おわりに
今回は、第 4 章「個々の労働者への配慮」の中からポイントをまとめてお伝えしました。
だんだんと覚えるべき内容が増えてきましたが、合格目指して頑張りましょう!
\ 公式テキスト /
第 5 章「労働者からの相談への対応」については、こちら👇