「明日は大雨になる可能性が高い」
「人身事故で電車が止まってしまい、遅刻する可能性がある」
・・・あなたは普段、このような表現を使っていませんか?
「●●の可能性」という表現を使う場面は多いですが、実は、誤った使い方をしている人が少なくありません。
今回は、そんな「可能性」という言葉の使い方についてお伝えします。
「可能性」とは
1 物事が実現できる見込み。「成功の可能性が高い」
引用:goo 国語辞書
2 事実がそうである見込み。「生存している可能性もある」
3 潜在的な発展性。「無限の可能性を秘める」
4 認識論で、ある命題が論理的に矛盾を含んでいないという側面を示す様態。
上記のとおり、「可能性」とは "実現できる見込み" のある事柄に対して使う言葉です。
つまり、「物事が良い方向に進んでいるとき」に使用する表現なんですね。
例えば、以下は正しい表現です。
・この資格を取得すれば、一次試験を免除される可能性がある。
どちらの例文も、それらが実現することは喜ばしいこととして期待を込めて述べられているため、正しい文章です。
次に、よくある誤用の例を挙げます。
・今年の梅雨は、過去に類を見ない大雨となる可能性がある。
資料を失くしたことは自分にとって良くない出来事であるにも関わらず、「可能性がある」と表現していて違和感があります。
大雨についても、この文章では喜ばしくないこととして述べていますよね。
そのため「可能性がある」と表現するのはふさわしくありません。
意外と、このような間違った使い方を耳にすることは多いです。
そもそも言葉は時代とともに変化するものなので、誤用であってもそれが定着することで「正しい使い方」になってしまうこともあり得ます。
しかしながら、本来の意味を知っているのであれば、正しい使い方を心がけたいものです。
では、「可能性がある」と言いたいけれど「物事が良くない方向に進んでいるとき」には、なんと言い換えたら良いのでしょうか。
それはずばり、「恐れがある」です。
「恐れ」とは
1 (恐れ)こわがる気持ち。恐怖。不安。「将来への漠たる―」
引用:goo 国語辞書
2 (畏れ)敬い、かしこまる気持ち。畏怖 (いふ) ・畏敬 (いけい) の念。「神の偉大さに―をいだく」
3 (虞)よくないことが起こるかもしれないという心配。懸念。「自殺の―がある」
上記のとおり、「恐れ」は好ましくないことや望んでいないことなど、 "良くないことが起こるかもしれない時" に使う言葉です。
つまり、ネガティヴな事柄に対して使用する表現なんですね。
まさに、「可能性」を誤用してきた場面で使うべき正しい言葉です。
例えば、以下は正しい表現です。
・相手に誤解を与える恐れがある。
どちらも、それが現実となるのは喜ばしくない事柄です。
そのため「恐れがある」という表現が正しいですね。
また、先述した「可能性」の誤用の例文も、「恐れ」に言い換えれば意味が通ります。
・今年の梅雨は、過去に類を見ない大雨となる恐れがある。
あまり普段の生活の中で「恐れ」という表現を口にすることはないため、家族や友人との会話で使うには抵抗があるかもしれませんね。
そんな時は、ぜひ豆知識を披露するつもりで「可能性」と「恐れ」の使い分けについて話してみてください!
そして意見を交わしながら、日本語表現についての理解を深めていきましょう。
おわりに
いかがでしたか?
今回は、「可能性」という言葉の使い方についてお伝えしました。
✔️「恐れ」は、物事が良くない方向に進んでいるときに使う
言葉の持つ本来の意味を理解しながら、正しく美しい日本語を使っていきたいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。